【校長投稿】学校行事
令和6年度 修了式 校長講話
本日、令和6年度の終了式を迎えました。今年度の学びを修了したことを認める日でもあります。今一度、この一年を振り返り、それぞれの学年に応じて、学力や心がどれくらい成長できたか確認してください。確認のためにいくつか質問をします。心の中で「はい・いいえ」で答えてください。
・1年をとおして、規則正しい生活ができたとは言えない。
・自分にとって良くないとわかっていても、楽しければやってしまう。
・その場にふさわしくない発言をしてしまったことがある。
・深く考えずに、つい行動してしまう。
・授業で出された課題など期限を守って提出できなかった。
「はい」と答えた数が多いほど、自己をコントロールする力が低く、すべて「いいえ」だった人は セルフマネジメント力 が高いといえます。大事なのは自己をコントロールできない要因は何かということ。これを見つけ出さないことには、なかなか前向きな成長が望めません。
もう少し質問します。これも心の中で「はい・いいえ」で応えてください。
・学習習慣が確実に身についていると評価できますか?
・授業に参加しながらちゃんと理解できているか自分で確認していますか?
・自分の理解が適切かどうか、チェックできていますか?
・どうすれば理解しやすいか、頭に入るかを考え工夫していますか?
・わからないことがあれば、先生や友達などに質問して、理解するよう努めていますか?
これらの質問は、自分の学習状況について、わかったつもりになっていないか、客観的に自己評価できる力が身に付いているかどうかの質問でした。「はい」と応えた数が多いほど 自己客観視力(俯瞰的に自己分析する力) が身についてきているといえます。先ほどの、セルフマネジメント力 や 自己客観視力 は、学業成績や学習効果の向上に大きく影響する力だと言われています。一年間を振り返り、次に繋げる目安にしてもらえればと思います。
さて、まもなく春が来ます。今月は4回も降雪がありましたが、皆さんは春の訪れをどのようにして感じていますか?「春は選抜から」と言われるように高校野球の開幕と答える人もいるでしょう(一昨日浦和実業高校が初戦を突破しました)。桜の開花という人、スギ花粉の飛散という人もいるでしょう。皆さん知ってのとおり、先週アメリカのMLBが開幕し、ドジャーズ 対 カブス の東京シリーズ2試合が行われました。MLBの開幕戦が日本で行われるのは、大リーグの市場拡大という興行的なねらいがあります。それはともかくとしても、それぞれのチームの主力メンバーに5人の日本人選手が名を連ねているのは誇らしいことです。大谷選手を代表として、彼らは「常に自分にとっての高い理想像を鮮明に描きながら、今の自分の現実と比較して、そのギャップを埋めるために行動し、その行動の過程で自らを進化」させています。このことは大リーグの選手に限ったことではなく、自己の成長、自己実現を願う誰にでも当てはまることです。これから話すことを自分事として考えてみてください。
自身の理想像は何ですか? 見えていますか?
①大事なことは「明確で高い目標」を持つこと。どうなりたいかを考えるとき、最初から無理だと思っていては高い理想を描くことはできません。できないと決めつけることは避けるべきです。
②次に理想が高ければ高いほど、今の自分に足らないものは何かを見つけ出す作業が必要です。そのためには「客観的な自己評価力・分析力」を鍛えておかなければなりません。
③そして、足らない部分がどこかわかれば、それを補うしかありません。しかも、補う行動を持続させるためにはモチベーションも必要です。モチベーションは他人から与えられたり、強いられたりするものではなく、自分の内面から自然発生的にわき上がる 内発的モチベーション が大事です。皆さんが成長したい、伸びたいと強く思って何か行動を起こすときの内発的な動機、モチベーションとは何か・・・イメージしてみてください。
大谷選手は、自分史上最高に出会いたいという思いがモチベーションとなり、理想を夢見ながら、日々こつこつと練習を繰り返し、この繰り返しを習慣化させているそうです。つまり、小さな習慣を、自分を大きく育てることに繋げているのです。足らない部分を補うためにもう一つ必要なことは、最初に話をした セルフマネジメント力 です。この セルフマネジメント力 と 内発的モチベーション は相関関係にあって、内発的モチベーション がしっかりとしている人は セルフマネジメント力 も高く、安易に楽な方に流されるようなことはありません。私はプロ野球開幕を待ち遠しく思っています。昨年の秋にシーズンが終わり、自習練習、キャンプ、オープン戦を経て、開幕は3月28日です。本校のシーズンの開幕は、4月8日の始業式からになります。2月21日に学年末考査が終わり、4月8日までの約1ヶ月半は、来シーズンに向けての準備期間です。そんな意識を持っていますか?良い準備ができていますか?ある球団の監督が、キャンプ中の 気付き の大切さについて語っていました。「最近の若い選手は、そこら辺にボールが落ちていても拾わない。踏んで捻挫するんじゃないかという 気付き もない。そうした小さいことから気付いてもらいたい。気付き が多いほど、人として成長し、技術も向上する」と。まさにそのとおりです。皆さんは普段の学校生活の中で、色々なことに気付けていますか?
どうか、皆さん自身が4月8日の開幕(始業式)を良い状態で迎えられるよう、2週間余りしかありませんが、くれぐれも事故、事件に巻き込まれないよう セルフマネジメント力 を発揮し、充実した時間を過ごすことを祈念し、私の話を終わります。
令和6年度 第120回卒業証書授与式 式辞
旅立ちの春を迎え、素朴な土の香り漂う今日この佳き日に、第120回卒業証書授与式を挙行できますことは、卒業生はもとより、私たち教職員、在校生にとって大きな喜びであります。本日晴れの日を迎えられた卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
保護者並びにご家族の皆様、本日は誠におめでとうございます。卒業の日を迎えられたお子様の立派な姿に、感慨も ひとしおのことと存じます。また、これまで本校にお寄せいただきました数々のご支援、ご協力に深く感謝申し上げます。
卒業生の皆さんは今、どのような思いが胸に去来していますか。この3年間、コロナなどの感染症や自然災害に加え、戦争、人権・食料・環境・エネルギー問題など、大きな社会変動を目の当たりにしてきました。こうした中で、現実をしっかりと受け止め、力強く歩もうとする皆さんの姿に幾度となく勇気づけられました。部活動や各種大会での全国レベルの活躍はもとより、県内各地で、また、秩父郡市内で開催された各種イベントへの参加・協力など、大活躍し てくれた皆さんを、私は誇りに思います。おそらく、在学中の印象深い場面が一人一人の脳裏に甦っていることでしょう。それらすべてが「経験」という名の財産であり、かけがえのないものとして、皆さんのこれからを支えてくれるはずです。
こうして皆さんの前でお話しするのはこれが最後です。お伝えしたいことが二つあります。
一つ目は、「人間力」についてです。
皆さんが生きるこの先の時代、どんな未来が待ち受けていると思いますか? また、変化の激しい時代を生き抜くために必要な力とはどのようなものでしょうか?
例えば、今は「ChatGPT」のような生成AIが話題になっていますが、この先どんな仕事が生まれるのでしょうか? 真っ先に頭に浮かぶのが企業ごとの専門性や個性を兼ね備えた生成AIを使いこなす「AIトレーナー」。これまでは、コンピューター好きの人たちはシステムエンジニアを目指すのが定番でしたが、今後は農機メーカーや養殖業など、意外なAI活用企業に就職していくのかもしれません。例えば、農業はすでに機械化が進んでおり、農地を耕し、種をまき、収穫する農業機械(トラクター)は、人間から指示された作業工程を、GPSで位置情報を確認しながら無人で作業する「ロボットトラクター」に進化しています。ヤンマーがフェラーリの元デザイナーを起用して作った、かっこいいデザインのロボットトラクターなども登場しています。人間に必要不可欠な食糧や健康などの分野で、新しい仕事がこの先どんどん増えていくことでしょう。
では、この先必要な力とは何か?新しく、かつ需要のある仕事を生み出すのは、「困っている誰かのために」というような、仕事の目的や意義を常に考えられる人たちだと私は考えています。簡潔に言うと「人間力」のある人。デジタルが当たり前になっていくにつれて、今後ますます必要とされる力だと思います。
二つ目は、「一人で悩まない」ことです。
皆さんが今後、仕事や学業に携わる中で、壁に突き当たることや挫けそうになることがあると思います。「職場や学校の雰囲気に馴染めない」、「人間関係がうまくいかない」、或いは、「仕事や勉強の内容が想像していたことと違う。自分に合っていない。」など、こうした悩みは、多かれ少なかれ誰しもが経験することです。
大切なのは、自分一人で悩まないこと。自分で抱え込んでしまっては、我慢するか、その状況から逃れるといった結論にしか至りません。周囲に助けを求めることをためらわないでください。信頼できる上司や先輩、友人、家族に相談して、たくさんアドバイスを受けてください。母校の先生方でも結構です。職場の問題であれば、必ず助けてくれる人がいるはずです。仕事の内容であれば、その経験が自分の将来に役立つことがわからないだけかもしれません。多くの意見を聞き、冷静に、客観的に自分を見つめることが必要です。
その過程を経ての結論であれば、進路を変えることも選択肢の一つであって良いと思います。そのためにも、本校で得た友人を大切にしてください。学生時代の友人は遠慮なくアドバイスしてくれる一生の友です。人に頼ることができる人は頼りになる人に必ずなります。皆さんも、人の痛みがわかる、頼りにされる社会人になってください。
238名の進路は多様です。どうか皆さんには、何事にも関心を示す姿勢を持ち続けて、自らの可能性を拡げ、学び、必ずや夢の実現を果たして欲しいと思います。
皆さんの母校 秩父農工科学高校 は、これからも皆さんを見守り続けます。皆さんの健康と今後のご活躍、そして輝かしい未来を心より祈念し、式辞とします。
令和7年3月8日
埼玉県立秩父農工科学高等学校 校長 服部 修
令和6年度第3学期始業式 校長講話
皆さん、おはようございます。
令和7(2025)年のスタートです。今年は干支でいうと「巳(み)」、蛇の年です。巳年には「成長」や「変化」、「再生」というポジティブな意味が込められています。蛇は「脱皮」を繰り返しながら、成長する生き物です。同じように、私たちも新しい経験や学びを通じて自身を成長させることができます。時には、失敗や困難を経験することもあるでしょう。しかし、それらを新たな挑戦の機会として受け入れることで、自己を「再生」させ、さらに一歩前に進むことが可能になるのです。
また、蛇はゆっくりとしなやかに、曲線を描きながら進みます。そのため、変化する環境に柔軟に対応する力を象徴していると言われます。私たちも、日々の生活の中で柔軟な考え方を必要とする場面が多々あります。壁にぶち当たった時には、蛇のようにするりと乗り越えたいものです。
学校生活も同様です。これまでのやり方に固執するのではなく、時には、新たな挑戦や変化を受け入れることも必要です。柔軟な姿勢とともに、弛まぬ努力が必要です。巳年のエネルギーをお借りして、「自身を脱皮させる年」にしてみませんか?皆さんの小さな変化が、大きな成長につながる一年になることを期待します。
今日は正月休みに報道されていたニュースから感じたことをお話しします。
本校の卒業生で大学駅伝界のレジェンド 青葉 昌幸 さん(ちちぶエフエムで10月から12月にかけて放送していた連続ラジオ小説「青葉のタスキ」のモデルになった方です)をご存知ですか?11月に行われた高校駅伝の県予選会で声をかけてもらった人がこの中にいますよね?長く監督を務めておられた大東文化大学が今年も箱根駅伝に出場しました。今年は青山学院大学が大会記録を更新して2連覇(通算8回目の優勝)を達成しましたが、二日間見ていて色々なことを感じました。
特に心に残ったのは「ビジョンの重要性」です。「あるべき姿」、「ありたい姿」、こうしたビジョンを共有することで、チームが一つになり、チームは実力以上の力を発揮することができるということ。駅伝に出場するチームはどこも目指すのは優勝です。しかし箱根駅伝の面白いところは、優勝以外にも目指すべき目標があることです。それが「シード権獲得」。
箱根駅伝のシード権は総合成績上位10校に与えられる権利のことで、シード権のあるなしが翌年の活動に直結します(シード権があることで翌年は予選会を経ず本大会に出場できる)。そのため、たとえ優勝が難しくなっても、レースの途中から「シード権獲得」に戦略を切り替えるチームが現れ、数々のドラマ、名勝負を生んできました。優勝が決まっても、最後まで諦めないチームの姿勢が、私たちファンの心を掴んで離さないのだと思います。
もう一つ。
今年は第二次世界大戦が終結して80年の節目の年です。元旦の社説にこのことをとりあげる新聞がありました。今この瞬間も、戦争状態にあるパレスチナやウクライナの人たちのことを思うと、あらためて平和の尊さを考えなおさなければなりません。
日本で今年一番のイベント(平和の祭典)といえば、4月から10月まで開催される大阪・関西万博。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、世界中から革新的な技術や文化が集まります。大阪での開催は55年ぶり。前回の万博は1970年に開催され、日本の高度経済成長をシンボライズする一大イベントになりました(映画「20世紀少年」の中で描かれていた時代です)。万博では新しい技術や商品が生まれ、生活が便利になるきっかけになりました。ファミレス、携帯、電気自動車、動く歩道などの普及は、大阪万博の産物といて過言でありません。
AIやデジタル技術の進化は、今回の万博を機にさらに加速するでしょう(いや、我々の手で加速させなければなりません)。こうした変化の中で最も大切にしなければならないことは、テクノロジーと人間の調和です。AIの強みと人間の知性を融合させ、お互いの弱点を補い合うような仕事ができれば、効率化は飛躍的に進みます。AI技術は新たな価値創造のツールとしても注目を集めています。変化を恐れず、むしろそれらを力に変え、さらなる成長に繋げていきましょう。
結びに、ここにいる全ての皆さんがこの1年間心身共に健康で過ごせるよう祈念するとともに、ラストスパートの3学期です。2学期の終業式では一部の人たちに向けて厳しいお話しもさせていただきましたが、「やるべき事は全てやった」と胸を張って言い切れるよう、学年末をお過ごしください。
今学期もよろしくお願いします。
令和6年度第2学期終業式 校長講話
昨日の防災避難訓練では、秩父消防本部の方をお招きして危機管理について学びました。東日本大震災では、避難、誘導の可否が生死を分けたと言われています。災害がいつ起こってもこの学校には備えがあるのだ と自信を持って言えるよう、日頃の備えをしっかりやっておきましょう。
さて、今日は三つ話しをします。
一つ目は、生徒の活躍についてです。
昨日表彰した部活動等の活躍はもとより、学習成果も高く評価されました。
特に、明後日26日に 日本薬科大学埼玉キャンパス で行われる「令和6年度探究活動生徒発表会」に
電気システム科3年有志が「広大なサーキットに挑む~単三充電池40本のEVレース~」と題して
課題研究で取り組んだ成果を
また、食品化学科3年有志は「第3のみつの研究と新たな取組について」と題して
同じく課題研究で取り組んだ成果を 口頭 と ポスター の両方で発表します。
日々の努力が目に見える成果として多くの人たちに発信できることを、大変喜ばしく思います。
定時制の人たちも探究学習の成果をポスター発表する予定です。
職員室前に発表会について掲示してありますので、関心のある人はぜひ会場に足を運んでください。
二つ目は、一昨日行われた成績会議についてです。
学校全体の成績優良者は125人(17.5%)、欠点保持者は114人(15.9%)、このうちの半分が1年生です。1学期と比べて成績優良者が25人減り、逆に欠点保持者は22人増えました。努力して良い結果を残している生徒がいる反面、授業観察をしていて「どうしてこんな状況になるの?」と、残念に思う場面もありました。欠点が付いた背景には、①遅刻・欠席が多い、②課題などの提出物を期限までに出さない、③考査に向けた十分な準備をしていないなど、私から見れば怠慢と思えるるものばかりです。もったいないことです。時間は限られていますが、3学期に向けて冬休み中に課題や補習にしっかり取り組み、ここで挽回することを強く願います。
三つ目は、農業科で留学生として学んでいる 紗羅さん についてです。
今日で本校での学生生活が終了するので、感想を含めてご挨拶いただきたいと思います。
【中略】
早いもので、今年もあと1週間で終わります。健康に留意し、どうか良いお年をお迎えください。
以上です。
生徒会役員選挙 校長挨拶
ここで任期満了を迎え退任する 伊古田会長 をはじめとする生徒会役員の皆さん。
学校のリーダーとして、様々な行事や校外活動をこれまでけん引していただき、ありがとうございました。
柔軟な発想と行動力を発揮し、歴史ある本校の看板を背負い、あらゆる場面で最善を尽くしてくれました。
あらためてお礼を申し上げます。
さて、令和6年度後期・令和7年度前期生徒会役員を決める今回の選挙に19名の有志が立候補し、投票を実施することになりました。
候補者の皆さん全員に質問します。
① なぜ役員に立候補するのか?
② 秩父農工科学高校をどんな学校にしたいのか?
また、生徒会活動をどのようにして全生徒が身近に感じるよう活性化させるのか?
③ あなたの目指す学校にするために、役員としてどのようなことに取り組むのか?
有権者の立場にある皆さんは、これらの質問にしっかり答えられる候補者を選んでください。なぜなら、過去の実績が示すように、ここにいる人たちの中から本校のリーダーを育てなければならいからです。
リーダーには、「誰にも負けない農工を愛する気持ち」、「困難な課題にチャレンジするタフな精神力」、「人前で物事をわかりやすく表現する力」、「多くの人を動かす力」が必要です。演説を聴いて、皆さんのリーダーにふさわしい人かどうかを選ぶ眼を養う機会にしてください。
生徒会があなたのために何をしてくれるのかを待つのでなく、あなたが学校のために何ができるのかも併せて考えてみてください。先生、生徒、保護者、卒業生、そして地域の皆さんが、そのような思いを共有できれば、さらに素晴らしい農工になるはずです。
生徒会活動がさらに発展し、農工が飛躍することを期待します。