【校長投稿】学校行事
令和6年度第1回定例生徒総会 校長挨拶
皆さんこんにちは。急に暑くなりました。今週前半は雨続きでしたが、毎年4月20日頃は二十四節季のひとつ、穀雨にあたります。今年は先週金曜の19日でした。穀雨が過ぎれば降雨量も少しずつ増えるので、平野部では田植えの時期の目安になっています。私の住む川越では、田んぼに水が張られているところが目につくようになりました。春らしい陽気になると、ついつい外出したくなりますよね?
私事で恐縮ですが、この学校に着任してから札所巡りにはまってしまい、いくつか寺社仏閣を訪ねました。「せっかく秩父で仕事をするのだから」という理由で何となく始めたことですが、変わったハンコを押してもらえる御朱印や、達筆すぎてなんて書いてあるのか一見してわからない御朱印を集めるようになり、一つ一つが個性豊かで面白いです。
御朱印集めを始めて、少しずつ仏教に興味を持つようになりました。その道のプロがいるこの学校で、このような話をすのはおこがましいのですが、穀雨は「種まきなどの農作業に適した時期」と言われています。「自分にとって成長につながる、学び初め(自身の種まき)にも良い時期なのではないか?」と考えるようになりました。穀雨をきっかけに、少しずつでも、自分の興味のあることを学び始めて欲しいです。私のように仏教や御朱印についてでも結構ですし、人によっては語学を学ぶというのでも良いでしょう。秩父市在住の人たちには、この夏休み中の「短期留学」のお誘いも来ています。
大型連休中に、「本や漫画をじっくり読む」とか、「気になっていた映画をまとめて観る」とか、「押しのアーティストの新曲を聴いてみる」とか、趣味に近いことでも良いので、ゆとりのある人は、何か新しいことを始めてみてください。部活に勝負をかけている人たちは、今しかできないことに全力投球してください。また、応援に行きます。
さて、今日の総会で挨拶をと、生徒会長から直接依頼を受けました。この後の離任式でも出番があるので、手短にいきます。
一点目、図書館ギャラリーと図書委員会のコラボ企画「部活動写真展」について
二点目、交通事故防止5つの行動について
三点目、秩父市長との意見交換会について
三点目は秩父市長主催のイベントですが、我こそはと思う人はぜひ協力してください。
以上です。皆の時間です。実りある総会になるよう、建設的な発言に期待します。
令和6年度入学式 式辞
木々の緑が一斉に芽吹き、たくさんの花が咲き競うこの佳き日に、秩父農工科学高校に入学された新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。全ての教職員とともに、皆さんの入学を心から歓迎します。そして、皆さんを今日まで育て上げ、健やかな成長を支えてこられたご家族、関係の皆様に対しまして、心よりお祝いを申し上げます。
入学式は、新入生の皆さんを歓迎する式であるとともに、この学校で学ぶという思いを確認する機会でもあります。この記念すべき4月8日を、「今日この日から始まる高校生活を実りあるものにするぞ」という誓いの日にしていただきたいと思います。
さて、本校は、明治33(1900)年6月、 実業学校令により秩父郡立乙種農業学校 として設立され、以来124年の歴史の中、幾多の変遷を辿り今日に至っております。“勤勉努力”“質実剛健”“規律節制”“至誠一貫”“協同和親”を校訓に掲げ、2万7千5百人を超える優秀な人材を輩出してきた、地域の歴史とともに歩み続け、地域に信頼され、愛される学校です。
目指す学校像に「秩父地域の産業と未来を支えるスペシャリストを育成する学校」を掲げ、地域の産業と文化の担い手を養成するというスクール・ミッションを達成するために、全校を挙げ日々の教育活動に邁進しています。
ただ今入学を許可した新入生の皆さん。皆さんは9年間の義務教育を終え、自分の意思で本校への進学を決意し、合格されました。秩父農工科学高校は皆さんの入学を心から歓迎します。皆さんは、伝統ある本校で、そして、地元から深く愛されている本校で学ぶことに対して、誇りを持ってください。今まさに、大きな希望と幾ばくかの不安を胸に、新たな学校生活を始める皆さんへ、あらためて、高校とはどういうところなのかお話しします。
学校は、学びあうところ。勉強はもちろんですが、それ以外にも様々なことを、教職員から、また生徒同士で学ぶことができます。本校には、色々な種類の、そして数多くの、学びの仕掛けがあります。皆さんには、それらの仕掛けに気付く人になってもらいたい。では、どうすればその仕掛けに気付く人になれるか。まずは、好奇心旺盛であること。そして、謙虚であることです。世の中は学ぶべきもので溢れていることを知っている人、そして、自分には足りないものがあることを自覚している人は、学びのチャンスを掴むことができます。学びのチャンスを掴むことができる人は、必ず成長します。
次に、学校は、小さな失敗や挫折を経験する場でもあります。大人になって初めて失敗をしたのでは立ち直り方がわからず、前へ進めなくなってしまうかもしれません。学校で経験する小さな失敗や挫折を大切にしてください。それらの経験はきっと皆さんを強くたくましい人へと成長させてくれるはずです。但し、皆さんは、失敗したとき、ごめんなさいときちんと言える人であって欲しい。学校は、皆さんの失敗や挫折を見守り、支える存在なのです。
そして、学校は、お互いを認めあうところです。認めあうとは、ぬるま湯のような関係であるということではありません。本校には、生徒・教職員を合わせると850名近くの人たちがいます。それぞれ個性を持つ人たちが、互いに切磋琢磨し、高め合う関係を築き上げています。まずは、皆さんが他人から尊重されるために、皆さん自身が他人を尊重することから始めてください。お互いを認めつつ、レベルの高い、みんなが居心地の良さを感じられる集団になりましょう。
新入生の皆さん、この秩父農工科学高校で過ごす限られた時間を、大切にしてください。そして、皆さんの大切な時間を私たち教職員も共有させていただくことに感謝をし、式辞とします。
令和6年4月8日
埼玉県立秩父農工科学高等学校長 服部 修
令和6年度新着任式・第1学期始業式 校長講話
新着任式
皆さん、おはようございます。先日学年末の修了式が終わったと思ったら、もう4月になりました。
時間が過ぎるのはあっという間です。桜が咲き始めると、いよいよ春が来たという感じがします。春は別れと出会いの季節です。これから自分がどんな出会いをするのか、考えたらわくわくしませんか?どの別れや出会いにも、必ず意味があるはず。誰かとの別れは、違う誰かと出会うために必要なものなのかもしれません。
それでは、令和6年度当初の人事異動で、ご転出・ご退職された教職員及び新たに着任した教職員をお知らせします。
(中略)
以上、転出・退職14名、転入・新採用10名。一年間よろしくお願いします。
始業式
改めまして、皆さん、おはようございます。いよいよ令和6年度の始まりです。例年になく遅い春の訪れで、秩父でもようやく桜が咲き始めました。荒川周辺の柳も緑の新芽を出しています。いかにも新しい年度の始まりという感じになりました。
昨年もこの場で同じお願いしましたが、今日の午後、新入生241名の入学を許可します。新入生が少しでも早く学校生活に慣れるよう、先輩として懐の深さを見せてください。何気ない細かな心遣いや気遣いは、新入生にとって大きな励ましになります。そして、これから始まる農工での学校生活の送り方について、色々とアドバイスしてあげてください。よろしくお願いします。
新たな年度を迎えるにあり、私が必要と考える心構えについて学年別にお話しします。
まず新2年の皆さん、目標をはっきり定め、その目標に向かって「挑戦」してください。毎日の授業を真剣に受けるだけでなく、是非、各種検定試験にチャレンジしてください。資格取得は主体的に学ぶ姿勢や態度を育て、その人に対する社会的評価に繋がります。この1年の過ごし方で進路の方向付けがほぼ決まってしまいます。重要な1年になります。部活や生徒会活動でも中心的な活躍が期待され、多忙な1年になりますが、どれ一つ手を抜くことなく、全力で「挑戦」してください。
新3年の皆さんは最上級生です。勉強や部活だけでなく、学校内外での挨拶、みだしなみ、自転車や公共交通機関での乗車マナーに至るまで、農工の最上級生としてのふるまいが求められます。そして、後ろ姿で新入生や2年生をリードしていってください。農工の伝統や校風を作り出す責任は最上級生にあります。卒業生からのバトンをしっかり受け継ぎ、これまで以上に全力で、何事にも「挑戦」する本校の伝統、校風を発展させてください。また、進路を決める上で、これから重要な時期を迎えます。そのことを強く意識し、何事にも全力で取り組んでください。
最後に、ここにいる全ての皆さんに向けてです。私は42年前に高校を卒業しました。これまでの人生をふり返ると、必死になって学ぶことができたのは高校時代だった気がします。なりふり構わず一生懸命「勉強」した、「努力」した、その経験は大人になってから必ず活きます。それは万人共通です。「挑戦すること」、「創造すること」、「継続すること」を生活の中心に据え、勉強に、部活動に、全力投球してください。勉強も部活も最高の準備をして、最高の成果を目指してください。中でも、不得手なものへの「挑戦」、苦手なものを克服する「挑戦」、未知なるものへの「挑戦」。果敢にいきましょう。自分を変えるためには、「決意」や「想い」が大切です。この1年間をどんな年にするのか、何をやり抜くのか「決意」し、「想い」を強く持って様々な「挑戦」をしてください。
この1年を振り返ったときに、他人との比較でなく、今の自分と比べての成長が実感できるようになることを期待しています。皆さん一人ひとりにとって、飛躍の年、成長の一年になることを心から願っています。
令和5年度修了式 校長講話
おはようございます。今日は修了式です。
皆さんにとって、令和5年度はどんな1年だったでしょうか?勉強や部活動、学校行事、あるいは普段の生活は充実していましたか?ただなんとなく過ごしてしまった、あるいは、何か悔いが残ったことなどはありませんか?良い機会なので、この春休みに1年間を振り返って、次年度に活かして欲しいと思います。昨日に続き出番をいただきましたので、今日も二つのことを話させてください。
最近、私にとって大切な先輩を亡くしました。今も悲しくて、寂しい日々が続いています。この方は「気遣い」を大事にする方だったので、はじめに「気遣い」の話をします。
「気遣いは大事だ」と言われます。様々な人が集まって仕事していく上で、お互いに「気遣い」がなければ気持ちよく仕事ができません。ただ、私は「気遣い」というのは「気遣われる側」の方がむしろ大事なのではないかと考えます。「気遣い」は“してあげる”ことの義務ではありませんが、“されて当たり前”というものでもありません。「気遣いされる側」が「気遣われて当然」というような態度であったなら、気を使う側も良い気はしないでしょう。また、そういう人ほど、そもそも「気遣い」に気付かなかったりします。そのような集団の中では、徐々に「気遣い」が「損なこと」のように思えてきてしまい、「気遣う心」がなくなってしまうのではないかと思うのです。だからこそ、大切なのは、誰かの「気遣い」に気付き、その「気遣い」に感謝の心を持つこと。そしてその感謝は、誰かへの「気遣い」という形で返していくことだと思います。自分が気分よく仕事ができているときこそ、陰で誰かの「気遣い」に支えられてということを、この先輩から学びました。「気遣い」の環を広げていくことが、皆で成長する上で大切なのではないかと思います。
この先輩は、国語の先生で読書家でした。次は読書にまつわる話です。最近目にした書店業界についてのニュースからです。過去10年間で764社もの書店が市場から退出し、店舗数の減少が続いているという内容でした。確かに私自身も以前より本屋さんに行く回数が減りました。皆さんはどうですか?
電子書籍の普及も理由の一つかと思いますが、勉強や情報収集なら YouTube のような無料で便利な動画ツールがいくつもあります。わざわざお金を出してまで本を読む意味ってあるの?と思う人たちは特にそう感じるのではないでしょうか。私の考える本を読むメリットとは、「想像力を働かせることができる」ことです。YouTube などの動画は、視覚的には楽しいものかもしれませんが、想像力や発想力が養えません。その点、読書は活字を読んで、頭の中で自分の体験やビジョンを呼び起こし、映像化します。TVや YouTube は始めから映像化されているので、「わかった気になる」というのが実際のところでしょう。映像を見ている時は納得するのですが、見終わった後には中身をあまり覚えていない。誰しもがそんな経験をしたことがあると思います。それは頭を使っていないからです。頭を使って考えた事は定着します。本で読んだことを外に向けて発信することにより定着は更に進みます。みなさんもこの春休みに、読書の時間を増やしてみてはいかがでしょうか?
今日は色々話しましたが、何か心に残ることがあったら覚えておいて、あるいは実行して欲しいと思います。それでは、事故に遭わない、起こさないように気を付けながら、有意義な春休みを過ごしてください。終わります。
第2回定例生徒総会 校長挨拶
おはようございます。
今日3月21日は「はじめようの日」。春は始まりの季節です。「さぁ、始めよう」という気持ちを思い起こしてもらい、それを応援することを目的に、老舗百貨店「大丸松坂屋百貨店」が5年前に制定しました。春に何か新しく始める人を応援するため、チャレンジへのカウントダウン「3、2、1」に掛けているそうです。
気になったので、「日本では新年度がなぜ4月から始まるのか?」ググってみました。会計年度の始まりが4月になったのは明治19(1886)年から(本校の創立は1900年)。米を年貢として納めさせていた江戸幕府から明治政府に代わり、現金で納税するスタイルを導入したために秋に収穫した米を現金化してから納税する、それを国が確認して予算を組む、という新たなプロセスが必要になりました。現金化する手間が増えた分時間がかかるため、4月になったという説が有力です。
他にも諸説あるようですが、いずれにしても始まりの季節としては、桜が咲き草木が芽吹く春が日本人の心に馴染みやすいと私は感じています。満開の桜を見ると教員になった頃を思い出し気が引き締まります。初任の学校の近くに桜の名所があり、そこで場所取りをして花見をしたものでした。本校の先生方の中には、一緒に花見をした当時の仲間が幾人もいます。次年度も新たな気持ちで頑張りたいと思います。
さて、皆さんが社会人になると様々な会や組織に属することになります。地域の自治会や職場での会(例えば社友会など)の会員になると思います。会は、年度初めに「総会」という会を開き、前年度の活動報告や会計報告を行ったり、今年度の活動計画や予算案を示したりします。そして、会員の承認を得て活動が進んでいきます。今年2回目の定例生徒総会を通して、会の進め方をしっかり学んでください。
役員選挙の時にもお話ししたと思いますが、どうか生徒会活動を通して、「学校生活を充実させるため自分には何ができるのか」という志の種を見つけてください。また、活動を通して、AI(人工知能)に備わることのない、「主体性」「協働性」「創造性」を高めて欲しいと思います。
むすびに、秩父農工科学高校生徒会の活動が、みなさんの輝かしい未来を創り出すことを期待して、私の挨拶とします。